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ChatGPTを使って商品を探す。
サービスを比較する。
おすすめの会社を聞く。
こうした使い方は、すでに珍しいものではなくなっています。
それなら、
「ChatGPTで自社がおすすめされれば、Webサイトへのアクセスもかなり増えるのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、現時点のデータを見ると、AIの利用量が増えている割に、Webサイトへの送客はまだかなり少ない状態です。
SEOやAI検索の分析ツールを提供するAhrefsの2026年の推計では、従来Googleで検索されていたような用途に限ると、ChatGPTの利用量はGoogle検索の約12%に相当します。
決して小さな規模ではありません。
一方で、Webサイトへ実際に送られているトラフィックを比較すると、GoogleはChatGPTの約190倍のアクセスをWebサイトへ送っていました。
AI上でブランドが見られることと、そこからWebサイトがクリックされることは、かなり違うということです。
Google検索とChatGPTでは、ユーザーが情報を得るまでの流れが違います。
たとえばGoogleで、
「おすすめの勤怠管理システム」
と検索した場合。
検索結果には複数のページが並びます。
そこから比較サイトや企業サイトをクリックして、詳しい情報を確認するのが一般的です。
一方ChatGPTでは、
おすすめのサービス。
それぞれの特徴。
向いている企業。
メリット・デメリット。
場合によっては料金や比較まで、
回答の中でまとめて説明されます。
ユーザーは、その回答だけで疑問を解決できるかもしれません。
つまりChatGPTは、
「良いWebサイトを探す場所」
であるだけでなく、
「Webサイトを開かなくても情報を得られる場所」
でもあります。
Ahrefsが約76,000のWebサイトを基に比較したデータでは、GoogleからのアクセスがWebサイト全体の約40%を占めるのに対し、ChatGPTは約0.21%でした。
ChatGPTの利用量そのものとの差を考えると、クリックされる割合には非常に大きな差があります。
これはAI検索の成果を考えるうえで重要なポイントです。
ただし、
「AIはWebサイトへ人を送らない」
と結論づけるのも早すぎます。
SEOやデジタルマーケティングの分析サービスを提供するSemrushは、2024年10月から2026年2月までの17か月について、米国のユーザー行動データを分析しています。
その調査では、ChatGPTから外部WebサイトへのReferral Trafficは、2025年の1年間で206%増加しました。
つまり、絶対量ではGoogleとの差が大きいものの、AIからサイトへ移動するユーザー自体は増えています。
さらに興味深いのは、ChatGPTからどこへアクセスしているかです。
2026年初めの時点で、ChatGPTから発生する外部アクセスの20%以上がGoogleへ向かっていました。
たとえば、
ChatGPTで商品を知る。
もっと調べたくなってGoogleを開く。
ブランド名を検索する。
公式サイトへ入る。
という行動も考えられます。
この場合、Webサイトのアクセス解析だけを見ると、
「Google検索から来たユーザー」
に見えます。
しかし、最初にその会社を知ったきっかけはChatGPTだったかもしれません。
AIがブランドを発見する場所になり、Googleがその後の確認やWebサイトへの入口になる。
こうした使われ方も起きている可能性があります。
そして2026年には、AIからのクリックについて非常に興味深い変化がありました。
Webサイトのアクセスや市場動向を分析するSimilarwebによると、2026年5月7日ごろからChatGPTの回答内でブランド名そのものがクリックしやすい形で表示されるようになりました。
それまで引用元のリンクは、回答の下部などに表示されることが多くありました。
しかしブランド名が回答本文から直接クリックできるようになったことで、ユーザーにとってWebサイトへ移動しやすくなりました。
Similarwebが変更前後を比較したところ、ChatGPTからWebサイトへのReferral Trafficは1週間で157.7%増加しています。
約2.6倍です。
さらに、ブランドのトップページへ直接アクセスするReferral Trafficは354.7%増加しました。
変更前は、ChatGPT経由のアクセスのうちトップページに着地する割合は26〜32%程度でした。
変更後は約60%まで増えています。
これはかなり重要な結果です。
企業がWebサイトの内容を大きく変えたわけではありません。
ChatGPT側のリンクの見せ方が変わったことで、クリック数が大きく変わったのです。
つまり、AIからWebサイトへどれくらい人が来るかは、企業のAIO施策だけでなく、AIサービス側のUIにも左右されるということです。
今後ChatGPTやGeminiなどの画面設計が変われば、AIからのアクセス量も大きく変わる可能性があります。
AIOの成果を確認するとき、
「ChatGPTから何人サイトへ来たか」
を見ること自体は重要です。
Google Analyticsなどでも、ChatGPTやPerplexityからのアクセスを確認できます。
ただし、それだけをAIOの成果指標にすると見落とすものがあります。
たとえば、
ユーザーがChatGPTで、
「おすすめの○○会社は?」
と質問する。
そこで自社を知る。
しかしリンクはクリックしない。
後からGoogleで会社名を検索する。
公式サイトを見る。
数日後に問い合わせる。
というケースです。
この場合、ChatGPTは顧客獲得の最初のきっかけになっています。
しかしアクセス解析上では、Googleや直接流入から問い合わせたように見えるかもしれません。
逆に、
ChatGPTからWebサイトへのアクセスが増えたとしても、
単に引用元の記事を確認しに来ただけ。
サービス自体には興味がない。
という可能性もあります。
だからAIOでは、
AI上の可視性、Web流入、最終的な成果を分けて見る必要があります。
たとえば、
自社名がAI回答に登場しているか。
おすすめとして紹介されているか。
公式サイトが引用されているか。
ChatGPTなどからのアクセスは増えているか。
会社名やサービス名での指名検索は増えているか。
問い合わせや商談につながっているか。
といったものです。
完全にすべてをつなげて測定することは難しいですが、一つの数字だけを見るより実態に近づきます。
従来のSEOでは、
検索順位を上げる。
検索結果からクリックしてもらう。
Webサイトで商品やサービスを説明する。
問い合わせにつなげる。
という流れが比較的分かりやすくありました。
AI検索では、その途中の一部がAI回答の中で完結します。
ユーザーはWebサイトを開かなくても、
会社名を知る。
特徴を理解する。
競合と比較する。
候補を絞る。
ところまで進めることがあります。
だからAIOでは、Webサイトへのクリックだけでなく、AI回答の中で自社がどのように扱われているかそのものに価値が生まれます。
一方で、最終的に問い合わせや購入をしてもらうには、どこかの段階で公式情報を確認してもらうことも重要です。
実際、ChatGPTのリンク表示が改善されるとReferral Trafficが大きく増えたことからも、
「AI検索は完全なゼロクリックになる」
と決めつけるのも早いでしょう。
AIの画面やユーザー行動は、まだ大きく変化しています。
ChatGPTは、従来Googleで行われていた検索の一部を確実に担い始めています。
一方、Webサイトへの送客では、今のところGoogleとの差は非常に大きい状態です。
Ahrefsの推計では、ChatGPTの検索に近い利用量はGoogleの約12%まで達している一方、GoogleがWebサイトへ送るアクセスは約190倍でした。
しかしAIからのReferral Traffic自体は伸びています。
Semrushの調査では2025年に206%増加し、2026年にはChatGPTのリンク表示が変わっただけで、Similarwebが観測したReferral Trafficが1週間で157.7%増加しました。
つまり、AI検索とWebサイトの関係はまだ固まっていません。
だからAIOでは、
「ChatGPTから何アクセス来たか」
だけで成果を判断するのではなく、
AI上で自社が見えているか。
候補として選ばれているか。
Webサイトへ移動しているか。
指名検索や問い合わせにつながっているか。
を分けて見る必要があります。
AI検索は、Webサイトへの新しい流入経路であると同時に、Webサイトを訪れる前にブランドを知り、比較する場所にもなりつつあります。
この両方を見ることが、AI検索時代のWebマーケティングでは重要になってきています。
参考資料
・Ahrefs「ChatGPT Has 12% of Google's Search Volume but Google Sends 190x More Traffic to Websites」
・Semrush「ChatGPT traffic analysis: Insights from 17 months of clickstream data」
・Similarweb「ChatGPT Referral Traffic Near Triples Overnight」